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2018年12月14日

緻密な空気圧のテストを繰り返し、最高のグリップを発揮。高橋博がG-NET5連覇を達成!

posted by IRC TIRE MCJ staff at 18:20 | レースレポート
G-NET全日本ハードエンデューロ選手権 最終戦 HINO HARD ENDURO
日時:2018年11月18日
会場:群馬県日野カントリーオフロード
天候:晴れ
コンディション:ドライ
PHOTO&TEXT:ANIMALHOUSE

G-NET全日本ハードエンデューロ選手権は、日本各地のハードエンデューロレースを繋いで全日本選手権の形式をとっており、日本唯一の全国シリーズ戦だ。世界では今年からWESS(World Enduro Super Series)がスタート。エルズベルグロデオやルーマニアクスなどを繋ぎ、かつクロスカントリーやオンタイムなどのレースも取り入れて、上位のライダーにポイントを付与し、年間チャンピオンを決めるという形式を取っている。

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今年のG-NETはCGC斑尾ハードエンデューロ(長野)、サバイバル in 広島(広島)、Mt.モンキースクランブル(福島)ときて、いよいよ最終戦HINO HARD ENDURO(群馬)を迎えた。舞台となる日野カントリーオフロードはG-NET代表を務める栗田武氏自らが有志の協力の元コースレイアウトを作成し、「今年一番難しいコースを」と新たなセクションをいくつも完成させ、参加者を出迎えた。

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このコースに挑戦したくて集まったライダーは日本国内に止まらなかった。中国・台湾から杜中豪、林利庭、田红旗という3名のハードエンデューロライダーが参戦、iRCのVE-33s GEKKOTAを使ってレースに挑んだ。

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昨年まで4年連続G-NETの年間チャンピオンを獲得している高橋博は、ここまでランキングトップを維持してはいるが、1〜3戦すべてで優勝を逃してしまっている。わずか2ポイント差まで若手の山本礼人が迫っている状況で最終戦を迎えた。

すべてに万全を期し、優勝でチャンピオンを決めたい高橋だったが、不運にもレース会場に向かう道中でトランポが故障してしまう。それでも友人の助けでトラブルを乗り越えて金曜の夜中には会場入りし、いつも通り入念な下見を行った。土曜日の下見は8時間にも及んだという。

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高橋を襲った不運はそれだけに止まらなかった。1周目、最初のセクション「竹やぶゾーン」とそれに続く「4段ヒル」をトップで通過し、後続にアドバンテージを稼ぎたいはずが、初級セクション「1stヒル」でミスを犯し何台かにパスされ、さらに「なめこ沢」では転倒した際に足を挟まれ自力で起こせない状態に。チャンピオンを競う山本にも大きな差をつけられてしまった。「何かの歯車が狂ったんですかね…原因は自分でもよくわからないのですが、さすがにこの時は少し諦めそうになっちゃいましたね」

しかし、高橋はその後は順調に順位をあげていった。レースは規定時間の3時間を過ぎ、多くのライダーが1周できずにレースを終えている中、山本、高橋、そしてトライアルIASの藤原慎也だけが3周目に突入していた。藤原が持ち前のテクニックで一時トップにおどり出るが、終盤のセクションでリアタイヤをパンク、戦線を離脱した。

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チャンピオン争いは観客やレースを終えたライダーが多く見守る中、最後のセクション「Finish Hill」を先に登頂した方が勝ち、という熱い展開に。二人ともすでに体力は限界を迎え、何度も失敗を繰り返した。そんな中、中腹でスタックしてしまった山本を、レースを終えたライダーが引き上げる奇策に出た。ルールでは「ライダー同士の助け合いは認めるが、観客によるヘルプは認められない」とあり、現場のマーシャルも判断に迷いが生じた。

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先に山本が他のライダーと共にマシンを押し上げチェッカーを受け、それに少し遅れて高橋がスタックしつつも自力で登頂。二人はその場でお互いの検討を讃えあい、握手を交わした。

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結果として軍配は高橋に上がった。HINO HARD ENDURO主催の栗田氏は「レースを終えたライダーは観客と同様に扱います。また、HINO HARD ENDUROの規則では勝敗に著しく大きく影響するようなヘルプは禁止と記載されています。私の監督不行き届きで現場を混乱させてしまい、申し訳ございませんでした」と山本に頭を下げたのだった。こうして、高橋はG-NET全日本ハードエンデューロ選手権5連覇を達成した。

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また、トップ3に次いで4位に入ったのは熊本悠太だった。熊本は1周目中盤の難所「さよならキャンバー」を2番手で通過すると好ペースを維持していたが、2周目のヒルクライム「ベータマウンテン」で大苦戦を強いられてしまう。何度もリトライを繰り返し、時間と体力を削られ、2周目を周回した時点で2時間50分を過ぎており、そこでレースを終えた。

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しかし、最後の難関「Finish Hill」を「しっかりとバイクに乗ったままキレイに登頂したのは熊本だけだった」とはレース時間中ずっと「Finish Hill」に張り付いていたマーシャルの談。今年はマシントラブルに泣かされ、惜しくもチャンピオン争いに絡むことはできなかったが、ゼッケン#2の実力をしっかり示し、4位入賞。今年のランキングも4位でシーズンを終えた。

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また、今年はスポット参戦でレースを盛り上げてくれている和泉拓は高橋と同じくGEKKOTA開発ライダー。第1戦のCGC斑尾以来のG-NET参戦となったが、1時間30分できっちり一周。2周目のダートフリークヒルで時間切れとなり、8位となった。

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また、高橋に教えを受けて成長中の泉谷之則は1周目前半で苦戦して順位を落とすも徐々に挽回。2周目最後の「Finish Hill」までたどり着くも、チャレンジする前にタイムアップとなり、9位。年間ランキングは今年と同じ6位をキープする形に。

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杜中豪は自らが開発に関わるムースと、VE-33s GEKKOTAを組み合わせて使用し、土曜日のミドルクラスでは賞典外ながら唯一5周を回った。しかし、本番のG-NETクラスでは終盤までコマを進めるも惜しくも周回できずにタイムアップ。林利庭はベータマウンテンでクラッチトラブルで戦線を離脱、田红旗は中盤の丸太セクションでタイムアップという成績だった。

高橋博
チームベータIRCエンジョイズ
BETA RR2T300
前:iX-07s(空気圧0.6kgf/㎠)
後:VE-33s GEKKOTA(空気圧0.22kgf/㎠)
「G-NET戦としてはやはりこのくらいの難易度がないと、と思いますね。一応3周できているので、過去一番難しいというレベルではないのだと思いますが、いいコースでしたね。これぞG-NETだと思います。タイヤもよくなってるし、みんな上手くなっているので、だんだん難しくなっていますね。1周目のなめこ沢でもうちょっとグリップが欲しかったので、少しリアを落として0.20kgf/㎠くらいになっていると思います。タイヤの空気圧をすごくシビアにテストしてきたのと、サスペンションのセッティングをしっかり出してきました。今日のコースはフカフカのヒルクライムが多かったのですが、VE-33s GEKKOTAはそういうシチュエーションに強いので、苦労はしなかったです。
今回は序盤で大きく順位を落としてしまったので、追い上げるのは辛かったです。また、今年はこれまでで一番苦しいシーズンになりました。でもこれで5連覇を達成できたので、今後は若手の発掘と育成に少し活動をシフトしつつ、レースでも派手な走りで観客を楽しませて行ければいいな、と思っています」

熊本悠太
Team BETA バイカーズベア
BETA X-TRAINER300
前:iX-07s(空気圧0.6kgf/㎠)
後:VE-33s GEKKOTA(空気圧0.25kgf/㎠)
「マシンもタイヤも絶好調でしたが、体調管理ですかね。1周目のトンネル沢で足が攣っちゃって、水分を摂りすぎたらちょっと気持ち悪くなってしまって、だんだん調子が出てきたと思ったら2周目のベータマウンテンでどハマりしてしまいました。あれが敗因ですね。レースのレベルがどんどん上がっていて、難しかったです。
タイヤは今までで一番よかったです。こんなに空気圧を下げたのは初めてだったのですが、ガレた沢とかでも安定して走れますし、フロントのグリップもすごくよかったです。実は今回ガレ対策でiX-09w GEKKOTAと悩んだのですが、ヒルクライムで地面をキックしてくれるVE-33s GEKKOTAの特性にすごく助けられて、こっちで正解だったな、と。後半はかなり掘れてしまってヒルクライムが難しかったですが、1周目は問題なく直登できました。Moto Hillでは全開アタックで登りながらブラインドコーナーを曲がるんですが、曲がった先の石や切り株に弾かれてしまって、ちょっとヒヤッとしましたね」

和泉拓
TeamBetaIRCストレンジ
BETA X-TRAINER300
前:iX-07s(空気圧0.6kgf/㎠)
後:VE-33s GEKKOTA(空気圧0.3kgf/㎠)
「レースは2周目のダートフリークヒルを登ったところでタイムアップでした。トンネル沢のようなガレているところでは2速で片足つきながら止まらずにスルスルっと進んでいくとすごくリアタイヤがグリップしましたね。なめこ沢のような渋滞しているところはスピード出していけないので、本当のグリップ勝負になってくるんです。もっと空気圧を下げてもよかったかも知れないですね。
最近軽量化に凝っていて、今回はヘビーチューブではなくノーマルチューブにチューブサドルを入れているんです。アンダーガードやハンドガードもアルミを使わずにプラのものを使う用にしています。やっぱりバイクが軽いとバイクが転がってくれるんですね。フカフカのところが多くて、手首まで埋まってしまうくらいのところがちょっと苦労しました。来年も出られそうなところは出たいと思っています」

泉谷之則
チームベータIRCシルバラード
BETA RR2T300
前:iX-07s(空気圧0.6kgf/㎠)
後:VE-33s GEKKOTA(空気圧0.3kgf/㎠)
「会場入りが遅くなってしまったので、ほとんど下見ができないままレースに挑みました。案の定、1周目の1st Hillで前のライダーが詰まった所に突っ込んで遅れてしまったんです。それでも少しずつ順位を上げていったのですが、2周目は1周目に比べてヒルクライムがすごく掘れて難しくなっていて、特にベータマウンテンとMoto Hillが難しくて、そこでだいぶ時間を失ってしまいました。時間がギリギリだったので、そのあと頑張って攻めていたら、攻め過ぎて前転してしまったりして。最後のFinish Hillまではたどり着いたのですが、そこでタイムアップでした。今回は大きなトラブルもなかったので、今の自分の実力と受け止めて、来年はもっと体制を整えて頑張ろうと思います。
タイヤはVE-33s GEKKOTAで間違いなかったですね。ガレた沢とかではiX-09w GEKKOTAの方が良いのかも知れませんが、やはりヒルクライムやキャンバーではかなり助けられました」

杜中豪/台湾
KTM 250EXC
後:VE-33s GEKKOTA(ムース)
「VE-33s GEKKOTAはすごく使い勝手がよくて、木の根っこや石を越えるのもすごくよかったです。今回、自分が開発に関わったムースを使いました。これはガミータイヤ用に開発したものでしたので、相性もよかったと思います。G-NETのコースは正直難しかったです。終盤のキヨミズヒルまでは行くことができたのですが、そこでタイムアップでしたので、またチャレンジしたいと思います」

林利庭/台湾
BETA RR2T250
後:VE-33s GEKKOTA(TUBLISS)
「一つの会場の中でガレ場やヒルクライム、竹やぶなど変化に飛んでいるのが素晴らしいと思いました。中でも特によかったのはヒルクライムですね。帰ったらヒルクライムとバランスをとる練習をしたいです。タイヤはすごくよくてまったく不満がありませんでした。自分は体力には自身があるのですが、テクニックが不足していると感じましたので、良い課題が見つかりました」

田红旗/中国
BETA RR2T250
後:VE-33s GEKKOTA(TUBLISS)
「日本のレースは選手同士の仲がとても良いのに好感が持てました。また、ライダーの層がとても厚くて、中国に比べてレベルの高さを感じました。コースはセクションが豊富で、とても難しかったです。私は中盤の丸太アトラクションのあたりでタイムアップでしたので、また練習して出直したいと思います」